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日本むかしばなし 11巻

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鈴鹿選手権 第2戦 西コース

 

SP400クラス エントリー台数69台

 

午前中の予選は、ドライで8番手

 

ポールポジションは、ホンダRVF400を駆るF選手。

 

3列目からのスタートで 表彰台を狙うには、

 

かなり厳しいポジションだ

 

かと言って特にネガティブだったわけじゃない。

 

午後からの天気予報は、下り坂

 

晴れでも雨でも とにかく全力で後悔の無いレースを、

 

悔し涙に2回目は無い

 

とにかく一戦ごとに成長しなくちゃ

 

それだけ考えていた。

 

SP400クラスの決勝レースは、一番最後

 

4レース目のGP250クラス途中から雨が降ってきた

 

*GP250 SP(プロダクション)マシンと違い

0からレース専用として作られた純粋な250ccレーシングマシン

ホンダRS250 ヤマハTZ250など

 

5レース目SP250クラスからは、完全なフルウエット。

 

*SP250 市販街乗りバイク2スト250cc

(NSR250/TZR250/RGVガンマ)を

レギュレーション(規則)に則り改造されたマシン。

 

当然 僕が出場するSP400クラスも

 

フルウエットの中 決勝が行われた。

 

SP400 市販街乗りバイク4スト400cc

(ZXR400/CBR400RR/RVF400/FZR400/GSXR400)を

レギュレーション(規則)に則り改造されたマシン

 

雨のレースは、正直 記憶にない

 

でも びっくりするくらい冷静だった

 

季節的に夕暮れ間近は気温も低く 

 

冷たい雨も加わり 各マシンのマフラーからは、

 

白い水蒸気が吐き出される。

 

選手紹介が終わり ウォームアップランが行われ

 

再度 自らがつくべきグリッドにマシンを並べる。

 

各マシンが全てのグリッドにつき

 

レッドフラッグマンが旗を掲げ コースから退く

 

けたたましく排気音が高まる中

 

レッドシグナルが点灯 

 

そしてブラックアウト 

 

12周の決勝がスタート。

 

スタートが決まり 3番手につける

 

トップはRVFのF選手、2番手はZXRのS選手

 

二人共 ガチガチの優勝候補だ

 

2周目 3台の間隔は一定で 充分な射程位置

 

前戦と違い 怖いぐらい落ち着いていて

 

後ろなんて全く気にもならなくて

 

前の2台を冷静に見えていた。

 

今日の僕は狩られるほうじゃない

 

前を狩るほうだと。

 

前を走るS選手がヘアピンコーナーに進入した時

 

彼はウエット路面に対し 強烈なトラクションをリアにかけていた

 

リアショックが縮み スイングアームが

 

大きくスイングしているのが

 

斜め後ろから見ても充分解るぐらいだった。

 

「無理だ」

 

そう思った瞬間 ZXRのリアタイヤは、グリップを失い

 

S選手は、スリップダウンで転倒

 

あっけなく戦列から離脱。

 

前がいなくなって すぐさま

 

F選手との差を詰める

 

あっけなく 彼の真後ろにつき、この瞬間

 

「勝てる」と確信した。

 

スプーンカーブに入り 更に自分のペースが

 

彼を上回っている事を確信し

 

スプーンカーブ出口のラインを立ち上がり優先に変え

 

ストレートに入る前にF選手を抜き去る

 

冷静だった そして難なく トップに立った。

 

トップに立っても 冷静さは失われない

 

今、このコースを走っている者の中で

 

自分が一番速い それが 肌で解っていたから。

 

そして それを誇示するかのように

 

F選手を引き離していく。

 

しかし 予期せぬ事が起こった

 

コース上の水の膜が虹色にギラギラしている

 

コース脇のポストを見ると 

 

オイルフラッグが振られている。

 

どうやら 転倒した車両がコースに戻り

 

その際 何やら 油種類を巻いたと思われる。

 

それがガソリンなのか、オイルなのか解らない

 

ただ、レースは、続行されているので 

 

走りきるしかないのだ。

 

巻かれた油種は、濡れた路面を自由自在に伝い

 

コース一面を虹色にギラつかせている。

 

とても精神衛生上良くない

 

絶対的な自信は、この状況下

 

初めて 守りの走りに変換された。

 

決して大きくペースは、落とさないように走るものの

 

マージンをとって走っているのには変わりなく

 

この状況を あの男がほっとくわけがない。

 

ここが勝負どころと言わんばかりに

 

ひらいていた間を詰められ

 

とうとう7周目 F選手にトップの座を渡してしまった。

 

先ほどとは、完全に立場逆転

 

明らかに彼のほうがペースが速い。

 

認めたくはないが その時の彼の走りを見て

 

自分は、もう追いつけないと感じていたに違いない、

 

まだ 僕は、彼の領域まで達していない

 

速さの厚みが全然違う・・・・

 

納得の負けだった。

 

最終的に10秒近い大差をつけF選手が優勝

 

僕は、2位と初めての表彰台に立った。

 

負けは、したけど

 

レース中のファーステストラップは、僕が取っていた。

*レース出走者の中で一番早いラップタイム

 

結果として 負けたのだから

 

手放しでは、喜べないけど

 

自分なりに 成長も得るものもあったし

 

あれが今の自分の全力だ。

 

何より 仲間が喜んでくれたのだから

 

今日の結果を素直に受け入れようと思った。

 

日も落ちかけ、雨が降り続ける中の表彰台は、

 

吐く息も白くなるほど寒かったけど

 

僕も仲間も皆 笑顔だった。

 

正直 自分に こんな日が訪れるなど

 

思いもしなかった。

 

テントに戻る時、 以前所属していたチームの先輩が

 

祝福してくれた。

 

僕は、「いや、雨でしたし たまたまかもしれません」

 

そう 謙遜すると

 

「岡田、鈴鹿の表彰台は、

 

たまたまで上がれんぞ、もっと自信持て」

 

そう 先輩は言った。

 

何かが大きく変わったわけじゃない

 

でも、確実に少しづつ 僕も周りも

 

変化していこうとしている 良くも悪くも。

 


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