当たり前だがレースは、一人じゃ出来ない
コースへ出てしまえば 戦うのは独り
でもスタートするまでは それなりに
人手が必要となってくる。
当時のマシンは発電機能を取り払っているので
スタート前チェック場までは、
車両を押して行かなきゃいけないし
発電機、タイヤウォーマー等備品の運搬もある。
レースが始まればタイム計測に
サインボード出しもある、
今のようにラップタイマーが当たり前の時代と違い
必死に走っている自分達に唯一
状況や情報を知らせてくれるのがサインボード。
ラップタイム、周回数、後続との差など・・・
200キロ近いスピードで走り抜ける一瞬に
そのボードを見て 状況を判断する。
それだけに意思の疎通というのは、とても大事で
ボートを゙出ししている者は 今 ライダーの欲しがっている
情報を一番に且つ把握しやすいよう
簡素化する必要もある。
そして、意味不明な数字を出すのもご法度
決してライダーの頭に「?」と思わせてはいけない。
レースによっては、互いの認識の違いから
リザルトが大きく変わる事もある。
以前の仲間達は、
皆 カテゴリーは違えど 各々レース活動をしている。
サポート専門の人間はいない
その為 その日 自分のレースが無い者が
その日レースに出場する仲間を手伝う、という
やり方なので
例えば出場する人数に対し手伝いが少ない
あるいは、その日全てのカテゴリーがある、などとなれば
走る以外にも 仕事が増え
当然ながら レースに集中できなくなるだろう、
いや もはやレースをしていると言うものも
おこがましい。
そのような状況なので 先に書いたように
細かい打合せや意思疎通などは、理想論であり
到底 出来るものではない。
もちろん 僕だけじゃなく 他の仲間達も同じ状況なので
文句を言えるわけもなく
そのような状況でレースを続けていく事に
皆が慣れてしまっていたのも事実だった。
しかし・・・・
自分の欲しい環境は解っているが
「どこにある そんなものが?」
ライダーの気持ちを理解でき
3人程のサポート専門者でライダーの少ないチーム・・・・
ありえん・・・・
半ば諦めで当ても無い日々が続いていた ある日
練習で訪れていたフルコースのパドックでM君会った。
M君はSP250クラスにNSR250Rで出場している同い歳、
以前 知人を通して知り合ったが
どのような環境で走っているとかは、一切知らなかったし
きちんと話をするのも今日が初めてだった。
参考になればと なんとなく彼の環境を聞いた瞬間
正に僕の求める「それ」がそこにあった。
彼のチームの母体はあるバイクショップ
そこに集まった仲間達と活動していて
ショップ名をチーム名として使っていたが
ショップ自体はレース活動に関与しておらず
部品を注文したり
整備場所の提供ぐらいらしい
今走っているライダーはM君だけで
OBの人達や後輩が彼をサポートしている状況だ。
僕は、その話を聞くなり
そのチームに加えてもらえるよう
話をしてくれないかと彼に頼み込んだ。
そして M君の先輩でもありチームの頭
Kさんに話を通してもらい その了解を得る事が出来た。
Kさんは、面識こそないものの名前は知っている、
当たり前だ 数年前まで彼も僕と同じSP400で
走っていて、僕の前を走っていたのだから。
思いもよらない形で ようやく全てが整ったが
まだ 新体制がどう作用するかも わからない
けど 絶対僕の判断は間違っていない
それを証明する為にも結果が必要だ
曖昧な主観などではない 誰もが見て解る証明が。
まもなく鈴鹿選手権第2戦が始まろうとしている。
つづく